漢方薬の歴史
現在の日本には、大きく二つの漢方流派が存在します。
まず、中国から奈良平安時代に遣唐使によって日本へ伝えられたのが起源とされています。そ
して鎌倉時代、室町時代、江戸時代へと、時の流れと共に日本独自で発展していったのが「日
本漢方」です。
また、同じく中国で発展していったものを「中医学」と呼びます。現在、日本ではこの「日本漢方」
と「中医学」のふたつの流派が存在しています。
このふたつの流派を比較すると、根本的な考え方に若干違いがあり、同じ病人を見立てても、
病理の捕らえ方、治療方針に違いがあるため治療に使用する漢方処方も異なります。しかしど
ちらが正しくて、どちらが間違っているとは言えません。はっきりしているのことは、どちらもすば
らしい医学であるということです。※以下、「日本漢方」と「中医学」を分類せずに『漢方』と表記
します。
漢方理論
漢方の世界では、人間の身体は皮・毛・肌肉・筋・骨という組織と五臓六腑という臓腑から成り
立っており、その中を気・血・水が循環することにより生命活動が行われていると考えられてお
ります。
五臓六腑とは、(肝・心・脾・肺・腎)の五つの臓と、(胆のう・小腸・胃・大腸・膀胱・心包)の六つ
の腑がお互いに相生・相克関係にあり、助け合いバランスを保っています。この五臓六腑の内ど
こか一箇所でも過不足が生じると次々に他の臓腑へもその影響が波及し、やがては全体のバラ
ンスが崩れていってしまいます。
気とは(生命エネルギー)を意味しており、血は(血液を含む栄養素的な物質)であり、水とは(
血液の一部(血漿)も含みますが、 血液以外の水分・リンパ液)を差していると考えられます。
血・水という物質は気という生命エネルギーにより初めて動かすことが出来るのです。
漢方治療方針
漢方療法を行うためには、まずその患者さんを診断する必要があります。この診断法方は漢方
独特の診断方法があり、西洋医学(現代医学)と最も大きく考え方が異なるところです。
その漢方独自の診断方法には次のような方法があります。まず、患者の舌を診て身体の状態
を探る『舌診』、顔色・声の大きさ・話し方・しぐさ、爪、目、耳などを観察して健康状態を探る
『望診法』や、病人が直接訴える自覚症状や大小便の状態など、こちらから色々と質問をして
状態を探る『問診法』などが一般的です。その他、患者の脈の状態を診る『脈診』、直接患者の
お腹や患部を触って診断する『触診』など、実に様々な診断方法によりその患者を全体的に捉
え根本となる原因を探りだし初めて漢方処方が決定されます。
東洋医学と西洋医学
鎖国が解かれた鎌倉時代にオランダから蘭学が伝えられました。これが現代医学、即ち西洋
医学の起源です。これに対して従来行われてきた漢方医学のことを東洋医学と呼ぶようにな
りました。
中国3000年の歴史というように長年の歴史がある漢方に比べ、数百年と歴史の浅い西洋医
学ですが、ここ、20?30年の間に飛躍的な進歩を遂げてきました。が、同時に薬害問題も増
加してきました。本来治療薬であるはずの薬が、服用することにより新たに害を起すとは何と
も嘆かわしいことです。このような事態に陥ってしまった背景には、西洋医学の根本的な考え
方に問題があると考えられます。
例えば、「頭が痛い…」という訴えに対して、一時的に知覚神経を麻痺させて痛みを抑える頭痛
薬(鎮痛剤)、感冒で発熱したら熱を下げる解熱薬、血圧が高ければ降圧剤といった調子に一
時的な対症療法がほとんどです。
しかし、頭が痛い、熱が高いといった症状は、生体防御反応であり、身体がSOS信号を出して知
らせてくれているのです。ですから根本治療とは頭痛が起こった原因、発熱がなぜ起こっている
のか、何故血圧が高くなったのかを突き止め、そこを改善するのが本当の治療であり、根本療法
なのです。
まさに患者さん一人一人の体質、状態に合わせて処方を決まる漢方医学は根本療法をする上
でなくてはならない医学なのです。
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